2007年6月11日

企業システムとRuby with CTC

CTCさんが企画する「企業システムとRuby With CTC」セミナーに行ってきた。

全体を通して感じられるのが、Rubyがようやくエンタープライズで注目し始められてきているということ。以下、セミナーの内容をつらつらと、まとめておく。


  • Web2.0時代における新しいテクノロジーとSunのStrategy

  • JavaのTim BrayによるWeb2.0の話。
    Java も PHPもC#もなくならない。Rubyは拡大するだろうというのが印象的だった。あんまりちゃんと聞いてなかったので、省略。

  • 開発の現場から得られたRubyのポテンシャル

  • Railsを使った短期間の開発の事例紹介その1。
    テーブル数30、既存テーブル5、画面数60のシステムを6人程度で、7週間で開発したとのこと。すごい開発効率だと思う。チームでRubyに精通していたのは、うち一人。残りの人はJavaやWeb開発に精通しているが、Rubyはみんなはじめてだったらしい。
    どうしてもJava APIしか使えないところもあったそうで、そこはTomcat + Javaで開発した。tracは便利らしい。
    RailsやRubyをビジネスに活用するための、支援コミュニティを計画中。7月には、発表できるのでは?といっていた。

  • 私達が体験した Ruby プロジェクトの実際

  • Railsを使った短期間の開発の事例紹介その2。
    Railsで、SNSを開発している。画面数40、テーブル数85(!)、開発メンバーは6人で、4ヶ月の開発期間。チームメンバにRubyでの開発経験がないため、見積もりに困ったとのこと。実際には、チームのパフォーマンスを測定し、見積もりに役立てたということだが、実際に見積もりに成功したかどうか、Javaに対してどうだったかということには触れていなかった。
    現在パフォーマンスチューニングを行っている。発表できるような具体的なデータはなし。感じとしては、Railsで作っただけでは、Javaよりも重い。FastCGIがファイルディスクリプションを使いすぎて、枯渇してしまうという問題があったらしい。

  • JRuby and NetBeans -- Why Sun?

  • JRubyの開発者によるJRubyの紹介。
    Railsが動作するレベルまで完成度が上がっているらしい。JRubyのメリットは、マルチスレッド対応とか、JavaのコードとRubyのコードが混在できるところか。Swingのコードをirbから実行するデモがあったけど、このデモには感動。こういうJavaとRubyのいいところをmixした感じがJRubyのいいところ。
    今後は、パフォーマンス向上とか、Ruby2.0対応なんかを目指すとのこと。
    完成度が高くなってくると、面白くなってくるかもなあ。JRuby入れてみようかな。

  • Ruby/JRubyで構築する新時代の企業情報サービス

  • SunのRubyへの取り組みの紹介。
    JRubyの話やNetbeansの話など。NetbeansのRuby環境はかなり完成されているらしい。Sunは、オープンソースのコミュニティにサポートを応援することで、自社の利益につながるようなビジネスモデルを考えているらしい。

  • ビジネスアジリティへのRubyのインパクト

  • CTOCの企業戦略の紹介。
    ビジネスアジリティというのは、ソフトウェアのビジネスに対応する敏捷性のこと。ビジネスアジリティに対応するには、二つの道があると考えている。一つは、SOA。この方法は、従来型の方法ではある。もう一つは、アジャイルな開発手法。これによって、ビジネスに常に追従していくことで、柔軟な開発をおこなっていくという道。
    現時点では、どちらの方法も有効だが、どちらでも対応できるような人材が必要だとCTOCは考えているらしい。

  • Power Of Ruby

  • まつもとゆきひろさんによるRubyの話。
    ビジネスを行うにあたり、ソフトウェアの開発が必須になってきている。そのため、ソフトウェアの開発速度がビジネスに与える影響が大きくなってきた。高品質、短納期、低予算といった現在の要求に対応するには、結局のところ人間の生産性を上げるしかない。その要求に対応できるのが、Ruby。特にノリとか気分といったプログラマの気持ちを意識してRubyが開発してきた。
    今後は、エンタープライズ環境の開発も増えてくるだろうけど、Java(Sun?)とも仲良くしていきたい。


近年ビジネスからのソフトウェアに対する要求に、ソフトウェア開発が遅すぎる、高すぎる、変更ができないという問題がある。この問題を解決するための解の一つとしてRuby(Rails)に期待しているという雰囲気を感じた。ちょっと前のSOAの主張に似ているが、今回はビジネス層ではなく、開発者がターゲットになっているところが以前とは違うところ。
今後は、いかにしてビジネス層にアピールするかで、Rubyがエンタープライズで成功するかどうかが決まっていくのかもしれない。

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